本日二編目。

さすがにもうマクラネタはいいでしょう・・・・





そんな言い訳はさておき。


(早く寝たいって)

誰にでもその味を思い出すだけで、
それによって連想される過去のデキゴト
その時置かれていた境遇
その時のキモチなどが想起される

記憶に刻まれた味というモノがあるのではないか。

小生にとってのそれに該当する味。

それまで意識していなかったが、
ある日突然その味がもう味わうことができないとなると、
急に郷愁に似た強い恋慕の情が生じる味。

それは。

かつて天文館の一角にあった

マリモラーメンの味噌バターラーメン。

2004年の夏に天文館の店を突然閉め、
その後大口に引っ越してしまったが、
鹿児島市内から遠い地であるゆえ、
よほどのことがなければ再び味わうことはないと思っていた。

しかし、最近北薩へ出かけることの多い小生。
同じ「北薩」でくくったとしても、
小生の行く「阿久根」と「大口」は近そうで遠い場所であった。

それでも、無理をしてでも食してみたい。
たとえそれが50キロほどの遠回りであってもだ。

そんな思いにかられていたところ、
今日は阿久根から早く退出できそうな雰囲気。

決行は今日しかない。

そうカタク心に決めた小生、
シゴトもソコソコに(ヲイ)
阿久根から大口を目指す。

途中かかってくるケータイへの電話に、
そのたびにクルマを路肩に停めて対応していたため、
到着はすっかり遅くなってしまった。

大口市に入って国道268号線を水俣方向へ。

車内常備のTJカゴシマ編集「ラーメン読本」
(スマソ、正式名称失念・・・orz)
を頼りに真っ暗闇の中を突き進む。

そう、街中から離れ、まわりは真の闇なのだ。
おそらくこのガイドブックがなければたどり着けなかったであろう。

遠くに明かりが!!

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はたしてそれは、マリモラーメンの明かりであった。

マリモラーメン

「ちず窓」の場所については、
土地勘もなく真っ暗闇であったゆえ、誤差があるであろうことは
ご容赦願いたい。

なにせ、地図に示せるようなランドマークはナニもなかったのだから。

店の外に掲げられる看板に、ひと言
「天文館」の文字が刻まれていることがかつての栄光を物語っているかのようである。

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はやる心を抑え、店内へ。

「いらっしゃいませ」

おぉ!!これは店主の息子さん(たぶん)ではないか。
ガランとした店内に、一組の客が帰るところ。

ナニやら語りかける客に、丁寧に受け応える息子氏。

・・・オヤジさんはいないのか?
夜は息子さん一人で切り盛りしているのであろうか。

さて、茶とタクアン(これまた昔のまま)を持ってオーダを取りに来た息子氏に、
迷うことなく「味噌バター」とオーダする。

すると息子氏、奥に向かって
「味噌バター入りました?」

やがて奥から、懐かしのオヤジさん登場。
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あぁ、元気だったか、オヤジさん。

長らくぶりではあるが、元気そうである。
相変わらず無愛想であるが。
どうやら体を壊して、などの理由ではなく
大口の地に店を移したようである。

まずはナニより。



店内には小生一人。


かつてこの店が天文館で、昼時間は外待ちの客が絶えないほどの
名店であったことを知る客はこの地ではいかほどであろうか。

特段思い入れがあるとは思っていなかったのだが、
いざ食すことができなくなったあと、
こうして再びあの味に相まみえることを思って、

この店に通い始めた頃の自分の置かれていた逆境
ツライ日々などを思い出していた。

この店に連れて行ってくれたのは、
かつての戦友、
今は亡き(いるって)某友人であった。

高校の同級生ながら、高校時代には接点がなかったモノが
あるきっかけから「あの」時代を共有するようになり、
ともに戦った時代・・・・

遠い昔話である。


さて、そんな昔の思いにふけっていると
ラーメン登場。

おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・・・・・・……………



思い出の中のラーメンがここに。

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小振りのすり鉢状のドンブリに
フチ一杯まで注がれたスープ。

そして上に乗せられ、スープの熱で徐々に溶けていくバター。

まずはスープを一口。

・・・・少々薄くなったか?

しかし、すすった後のフッと鼻に戻る香り。

あぁ、これこれ。
独特の挽肉をダシに使ったスープバターが醸し出す
えもいわれぬ香り。

無理してきてヨカッタかも。

麺も少々伸び気味
スープも昔は舌を火傷しそうに熱々だったモノが
少々ぬるめ
しかも薄い味付け・・・

など、変わってしまった点を挙げれば残念な感も否めないが、
思い出がスパイス。

辛かった日々も思い返せばいい思い出のひとつである。


久々にこの味をみずから味わうことができたことに感謝。



今日は思い出に浸るとしよう。



大口からの帰りにも、たびたびかかってくる電話に
追われながら、
さらに真っ暗闇の中
小生のクルマの古いナビに従い
とてつもないケモノ道に導かれながら、
ホウホウのていで帰宅した小生であった。

およそ一日に数台のみが通るであろうケモノ道、
人類が未だかつて遭遇したことのないモノノケに遭うのではないかと
危惧しながらクネクネ走ってきたが、
遭遇したのは耳の短い野ウサギ一匹であったことは幸いであった。

(車のライトに驚いて、道の真ん中をひたすら突き進んでいくんだ、これが。)


思い出のための努力。プライスレス。