いかのおすし

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ご存じであろうか。

いや、ここで言っているのは
上の写真のモノではなく、


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コチラのモノである。

1.知らないヒトについて『イカ』ない
2.知らないヒトのクルマに『の』らない
3.『お』お声で叫ぶ
4.『す』ぐ逃げる
5.家のヒトに『し』らせる


コドモが身を守るため
防犯標語
である。

間違っても
1.『イカ』せる
2.『ノ』せる
3.『お』っぺけぺー
4.『す』っとんきょう
5.『し』らね?


の略ではないので悪しからず。



そんな見えすいた作ったネタはさておき。




今週は冒険週間。キラキラ


ですか?

困った




ということで本日俎上に上ったのは

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純東京 手打ち蕎麦 八雲

場所は、コチラ
純東京手打ち蕎麦「八雲」

JR九州正門前に位置する、
ココだけ20世紀に取り残された、隔絶した世界を
形作っている店である。

ナゼにこの店かと言えば、
先日この店の前を通った際に
ヨメが
「あ、懐かしい????
この店の鍋焼きうどんとか
天丼とか、
コドモの時に出前でよく食べた?」


と言ったからである。

かつてこの近くにヨメの爺さまが住んでおり、
そこに行った際に出前を取っていたというのだ。

・・・・それって、30年ほど前のことでつか?

「その頃と変わってない?」

・・・・30年経っても変わっていないとは。
恐るべし、昭和の遺産。

ということで同僚コボ氏と潜入してみることに。

店内は皆さまご想像のとおり。
おそらく「その」30年間、
確かに変わっていないのであろう。

すべての調度がススけて油染みており、
長い長い年月を感じさせる。
店の爺さま婆さまもしかり

この店とともに、緩やかな時の流れに身を任せ、
ともに年老いてきたのであろう。

店にはいると、
そこはパースの狂ったデッサンのように、
奥に行くにしたがって
傾斜して見える。
決して目の錯覚ではない。
実際に店の奥に向かって、
5度ほどの傾斜があるのだ。

・・・・これ、店全体が床もろとも
傾いてるって・・・・

おそらく近隣のビル建築の際などに
地盤沈下が起こったのか
土砂が流出したのか。

いずれにせよ、全体が傾いている。

店の中のあらゆるモノが等しく傾いており、
しかもその傾斜をありのまま受け止めているので
気にしなければそれまでである。

細かいことを気にしてはいけない。

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・・・・しまった、意識して
右を上げて写真を撮ってしまった。


さて、壁に掛けられた消えかかったメニューの中から、
小生はチャンポンを、
コボ氏は天ぷら蕎麦をオーダする。

先客は二人、JRの職員の方がおられるが、
二人ともチャンポンを食していたので
ソソられたのだ。

カウンターにはオカモチが置かれ、
出前の準備中のようである。
ちょうどその出前の天丼を作っていたところであったが、
我々のオーダを取ると
爺さま婆さまは忙しくその準備にかかる。

・・・・いいんですか、出前?

おそらく二人は80才を超えていようか、
爺さまに至っては手元もおぼつかないが、
調理担当である。

婆さまが冷蔵庫から材料を出し、

婆「海老を揚げてな、天ぷらな。」
婆「そいじゃナカち。もチっと揚げんな。」


などと、爺さまにイチイチ指示を出す。
どうやら爺さま、多少のボケがあるようで、
小生のチャンポンを作りながら、
爺「コイは大盛りじゃったけな?」
3度ほど婆さまに確認している。

ダイジョウブなのか・・・・

そのうち、先客の一人が退店。
その際、値段を聞くと
婆「650円よ?。でも、600円でヨカが。」
すでに、価格もあって無きがごとしであるらしい。

婆「また今度、いっぱい払って」

コボ氏の天ぷら蕎麦が先に出る。

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爺さまにマルチタスクの機能は実装されていないようだ。
ただ、小生のちゃんぽん玉は
コボ氏の蕎麦と一緒にゆでられ、
すでにドンブリの中で湯気を放ってスタンバイしていた。
しかし、それからやっと具を炒め始めたのだが。。

どうなる、小生のちゃんぽん玉。

興味津々に見ていると、
具材が茹であがる頃に婆さまが再度湯で温め直していた。
さすが、長年のコンビネーションプレイである。

(放置プレイかと思いますた・・・orz)

ちゃんぽん玉を温め直すと、
やおら婆さま、オカモチを持って店外へ。
その際に我々に、
「あんたは600円、あんたは650円、
お金は置いていってネ。」


・・・・セルフサービスですか。

そういえば、他の客の置いた小銭が
カウンターにも。

言い残すと出て行ってしまった婆さま。

遅れて登場の小生のチャンポンを食す。

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ピンクピンクしたカマボコ。
ブタの薄切り。
チクワ。
ピーマン。
キャベツ。
モヤシ。

誰もが幼い日の記憶の中に忘れてきた
「あの」チャンポンがココに。
味もそのまま。
甘くもあり、辛くもあり、
ソコハカとなく酸味も。
ソース味ではなく、塩コショウ味

麺は手順を見てもわかるように、
すでに伸びきっているのだが、
その伸びることを前提としているような味わい。

小生が食し終わっても婆さまは帰還せず

思うのだが、この店に出前を頼むというのも、
頼む方も大したものである。
なにせ、小一時間は経っていようかという
熟成された天丼が届けられるのである。

いつ届くのかも定かではない。


結局婆さまは帰ってこなかったので、
仕方なく爺さまに精算してもらうことに。

コボ「私は600円。」
爺「あぁ・・・・いくらケナ?」
コボ「釣りは400円。」
爺「あぅぅぅあぁ、400円な。」

小生「私は650円。」
爺「あぁぅぅぁ、じゃ350円。」
小生「いや、1050円あるから。」

爺「・・・・・・・・・・・・・・」
(フリーズ)

小生「釣りは400円です。」
爺「ぁうぁうあ、じゃ、400円な。」


小生、なことをしてしまったようだ。

万が一、この店で万札を切ろうモノなら、
その日は帰って来れないか、
自分で両替に行くハメになるか、
「釣りがナカで、今日はヨカが」
のいずれかに陥ることであろう。

爺さまと婆さまにとって、この店は
生活の糧ではなく、
リハビリを兼ねた
生きていくための目標なのであろう。



いやぁ、貴重な経験をさせていただきました。

この店の中には、外界とは隔絶した
独自の時間が流れているようだ。

人生に疲れたとき、
この店を訪れると癒されるかも知れない。

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決して急いでいるときに行ってはいけない。






ゴチソウサマでした。

m(_ _)m