これまで、
鹿児島には3つの
イニシエ系ラーメンチェーン店


和田屋
くろいわラーメン
ざぼんラーメン


があると説いてきた。


つい一昨日ぐらいであろうか、
巨大SNSにおける
某コミュニティ内に書き込みが。

「明日で和田屋が閉店するらしいです。
しかも全店舗・・・・」



(; ̄ェ ̄)!?

マヂか?



その後、同コミュの同好の志が何名か
確認のために各店舗を訪れたようであるが、
店内にはドコにも掲示等なく
店の様子もほとんど普段と変わらなかったという。

しかし、従業員に確認してみると
コッソリ

「年内一杯で店を閉めるらしい」
とか

「明日の営業まで」

などと、非公式に認めているという。


なんということであろうか。

和田屋といえば、
かつては天文館のこむらさきの裏に
本店があり、
カレーのA1を合併吸収したりして

吉野店
西鹿児島駅前店
宇宿店

さらには川内店、加世田店など

を展開していたが
10年ほど前に天文館の本店を閉鎖
その後は吉野店を本店としていたようである。

それがひっそりと
そののれんを下ろそうとしているというのだ。



「味噌にしなさい」

が合い言葉の和田屋であったが、
古くから味噌ラーメンを売りにしていた。

先代の後を継ぐ後継者も現れ
店も続いていくと感じていた矢先の出来事であった。


まったくもって残念なことである。

昨今の鹿児島ラーメン界の賑わいの中、
あまり名前も出てこずに
確かに埋没してしまっていた感があったのは否めない。

それだけ競争が激化しているということであろうか。


しかし、全店舗閉鎖ということは、
経営に行き詰まったか
何らかのトラブルがあったか

と言うことではなかろうか。


現在のところ情報は錯綜しているが、
一部の情報では
鹿児島中央駅前の西駅店には
初商いの案内が貼られていた
とか、
詳細は不明な点が多い。


今後はあの独特の味わいの味噌ラーメン
直系の流れを汲むといわれる

麺屋桑山

でしか味わうことはできないかもしれない。


一部マスコミに踊らされた

なんちゃらラーメン王

がどーたらといった
お祭り騒ぎにウツツを抜かしている場合ではない。

老舗と呼ばれている店も
その伝統の上にあぐらをかかず、
常に研鑽に努め

店を存続させていただきたいところである。


そんな年の瀬も押し迫った時期に
今年の鹿児島ラーメン界一のきな臭いウワサ
はさておき。




今回は奇しくも、
同じく鹿児島のラーメン界では老舗と呼ばれる

ラーメン専門こむらさき

のお話しである。


熊本にも同じく

"こむらさき"

を名乗る名店があるが、
互いに何の繋がりもない由。



鹿児島の“こむらさき”
長らくチェーン展開せず、
天文館の本店のみで営業していたが、
鹿児島中央駅併設

アミュプラザ鹿児島

がオープンしたときに請われて出店したという経緯をもつ。

今回はそちらのアミュプラザ店

略して

あみゅらさき
(※註:言いませんww)

を訪れてみた。

DSC_1836




この店の訪問も数年ぶりか。

なお、天文館の本店には、
ある事件を機に足を運んでいない。
(事件の顛末はこちら

思い出しても腹が立つこの
下賎な蛮行
の事件は置いておいて。


小生が訪れたときは12時過ぎ。
折しもランチタイムまっただ中であり
店内はほぼ満席。

そのため、店外に置かれたスツールに
3名の県外客とおぼしき
オバチャンたちの集団が待っていた。

その後ろに座る。

事前にメニューを渡されオーダを告げてから
入店する方式。

DSC_1831

半ラーメンにチャーシュー丼が付く
チャーシューラーメンセット
がこの時間のオススメらしいが

米粒にあまり興味がない

ためスルー。

標準メニューを。

DSC_1830


これが

鹿児島ラーメンの標準的価格か?

と思ってしまわれては
非常に心外であるが、


ラーメン
(鹿児島黒豚チャーシュー入り)
大盛 1300円
並盛 1000円
小盛 700円

ラーメン
(チャーシュー入り)
大盛 1200円
並盛 900円
小盛 650円



と、豪華ランチフルコース
が食せそうな価格。


この価格は、本店とさして変わらない。

『観光地価格』

と揶揄される所以である。

ガイドブックなどには
必ずと言っていいほど

鹿児島ラーメンの老舗

として紹介されるため、
このような価格でもやっていけるのであろう。

あと、この店を支えているのは
高所得層の老人クラスター。

金に糸目を付けない連中である。


今回なぜわざわざこのような価格と知りながら
あえて来たかというと、

JR九州クレジットカード

のポイントがソレナリに貯まっていて
失効の時期が近かったため、

アミュプラザ鹿児島商品券

に引き替えていたからである。


このようなことでもない限り、
こんな価格のものを食しに来るわけはない
ではないか。

ただ、

商品券でのみ支払う

というのも気が休まらないので、

1300円のチャーシュー入り大盛り

をオーダーすることに。
(手出し300円)


店内には、
店の歴史が掲示されている。

せっかくなので、全文掲載しておくことにしよう。
(原文ママ)



こむらさき今昔物語

昭和二十五年、“こむらさき”は現在の場所に
小さな平屋で始まりました。先代の夫婦二人と
手伝いの親戚の娘が一人。やっと世にーメンと
いうメニューが登場した頃の話です。
“こむらさき”という屋号は、江戸時代の売れっ子
花魁(おいらん)の名前にあやかり商売繁盛を
願って付けられました。とんこつの独特の味わ
いと珍しいオープンキッチン(当時はこんな呼
び方はしなかったでしょうね)というスタイルが
お客様の評判をいただき、わずか三年で新装オープ
ンの運びとなりました。また、鹿児島でラーメ
ン屋が看板にネオンを付けたのは初めてのこと
でした。ちなみにラーメンは一杯五十円。映画
館の入場料が八十円の時代です。昭和三十年代、
お客様が増えるにつれ、住み込みで働く従業員
も増えました。クーラーのない時代では、やは
りラーメンは食べにくいもの。そこで八月の一ヶ
月間を店休にし、従業員には里帰りをさせてい
ました。それでも暑い時期には店内に氷柱を立
て、大型の扇風機を回して営業していました。
昭和四十六年に最初のアーケードが完成し、そ
れに合わせて翌年現在のビルを建築。
ラーメン屋らしからぬ料亭のようなユニーク
な外観で、建築雑誌にも紹介していただきまし
た。いつの時代も「美味しいラーメンを」ただ
それだけにこだわって今日までまいりました。
これからも初志貫徹変わらず精進してまいりた
いと思います。




そもそもここのラーメンは、
台湾のラーメン職人が編み出した味で、
その職人はそのままこの店の女将と結婚して
初代店主になったということなので、
日本のラーメン、特に九州のとんこつラーメンとは
まったく出自も趣も異にしている

その素性は、運ばれてきたラーメンを見れば
自ずと知れよう。

DSC_1833

DSC_1834


やや白濁していながら
乳化の進んでいない
どちらかと言えば
分離型のスープ。

よって、上層には油の膜があり
それがゆえ
食べ始めはかなり脂っこく感じる。


そこに、そうめんかと見まがうほどの
細さ、白さの
無かん水の麺が泳ぐ。


具材は小さめに刻まれたチャーシュー、
茹でキャベツにぱらりと浅葱という
至ってシンプルなもの。


そして、この店のスープの味わい
他店と全く違うものにし
方向性を決定づけていると言ってよいのは

DSC_1835


このシイタケ

干しシイタケ
をふんだんに使用しているのだ。

このあたりが原価として
価格に跳ね返っているのではなかろうか。



では、まずはスープを一口。

ん~~~~~~~~~~~~

何とも言えない
幼少のみぎりより慣れ親しんできた味わい。

現代の鹿児島ラーメンのスープとは
全く異なる味わい。


とんこつの薫りはさほど強くはなく、
まず舌に感じるのは
酸味とも感じ取れる味。

かつてはある種のミネラルにより
舌がシビれるほどの強烈な味であったが、
現在ではずいぶん控えめになっているという。

この味わいはなんであろうか。


他所では食したことのない味なのである。

そして

細い無かん水の麺
一度蒸した後に茹でているという
こちらも他では類を見ない食感である。


チャーシューも味がよく染みており、
スープにも溶け出しウマい。


何と言ってもここの味は、
他では味わえないオリジナルなもの
であり、
それがゆえに

一般のラーメン好き
とは異なる支持層

に絶大な人気を誇っているのである。




観光ガイドに

鹿児島のラーメンの老舗

と紹介されているからといって、
これが鹿児島ラーメンの味であると勘違い
されてしまっては甚だ迷惑であるが、
このようなラーメンもまた

鹿児島ラーメンの一側面

であると言うことで、
これらをも許容する
鹿児島人のフトコロの広さ
を感じていただければ幸いである。


自腹で1300円を払おうとまでは思わない
が、今回のような機会があれば

また食してみたい。








いつになるかは不明であるがな。

┐(  ̄ー ̄)┌